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リアリズムを超えたヒーロー群像 [ギャラリー]

もう何年も前に還暦を経たかつてのヒーローたちを主人公にした漫画を描きたいと思った事があった。
私が幼少だった頃にテレビや漫画雑誌で活躍していた懐かしのヒーローたちが還暦になった今も実は秘かに活躍しているという設定で、当時の映画でも流行った “オールスター総出演”というスタイルのオムニバス形式の漫画を考えていたのだが…著作権の問題もあって流れた。

私の少年時代と云えばあらゆるものが未完成で未成熟だった時代だから、今とは違って社会的な許容範囲も広く緩くて、物語のリアリティーにしても “まさに漫画的、なあなあ表現”で許される事も多かった。例えば「まぼろし探偵」や「少年ジェット」などは子供でありながら拳銃を撃ったりオートバイやスクーターに乗って事件を追いかけたり、「ビリーパック」の主人公ビリー少年は父親がアメリカ人、母親が日本人の混血なのだが父親がスパイ容疑で拷問を受けて殺されたのに、わざわざアメリカに逃れて教育を受けてから日本に帰って来て社会正義のために活躍する姿は少年とは思えない行動力で、コートを着てハンチングを被ったスタイルはどう見ても大人の男だった。一世を風靡した「月光仮面」は私立探偵・祝十郎の変身した姿なのだが、一体何のために変身するのかがよく分からない。正体が分かったところで何の不都合もないのに、単にその格好良さを楽しんでいるとしか思えないほどである。
突っ込めばきりのないヒーローたちなのだが、この矛盾だらけの楽天的とも云える爽快さが、高度成長期を後押しする未来の大人たち(注※団塊の世代たちの事)の精神的下支えとなっていた様にも思える。

懐かしヒーロー.jpg

行く川の流れは絶えずして万物はその形を留めることはなく、時代は移り変わり善悪も時の写し鏡の如く変容してゆく。時代のヒーローも今はなく、彼らの闘ってきた歴史だけが伝説となっているのみだ。
21世紀の今の時代となっては彼らの姿は時として陳腐に映るだろうが、例え滑稽と云われ無用と云われても時代に刻んだ足跡には人々の心に築いた業績が生きている。

to be continued…

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jyoji-san

僕もリアルタイムにその物語を楽しんだ世代です。
今見れば噴飯ものですが当時は胸躍らせ次回を心待ちしたものです。
by jyoji-san (2020-05-07 00:14) 

扶侶夢

>jyoji-san さん、ご来訪&コメント有難うございます。
単純で分かりやすくて無邪気だったあの頃が懐かしいですね。そんな漫画をひとつくらい復活させてもいいですよね。
jyoji-san のネコ太郎も楽しみにしてますよ~ ^^)
by 扶侶夢 (2020-05-07 18:25) 

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