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00/欧州放浪北欧編~はじめに [青年は荒野をめざした/北欧編]

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今は昔の70年代、高校生だった私は五木寛之・著「青年は荒野をめざす」に刺激されて海外をめざし、片道切符で横浜からハバロフスク号で船出した。

ヨーロッパを転々としながら過ごしたアルバイトとヒッチハイクの生活は数々の波乱のドラマを体験する事となり、エピソードの一部は五木寛之氏へのオマージュも込めて「青年は荒野をめざした」というタイトルでホームページやブログで発表していたのが20年以上も前の事になる。

今では考えられない程に現地から入手できる情報も乏しく、まるで価値観の違った異国の地で暮らすことは想像を超えた異次元の生活だった。
そんな環境の中での2年数ヵ月のエピソードはとても全貌を紹介しきれず、北アフリカを旅した波乱の一年目あたりで話を終わらせていた。

いくつかの国々で働いて貴重な体験も色々とあったが、しかし青春の一時期を過ごした海外での放浪生活の中で、その後の私の人生に少なからず影響を残したものは北欧で暮らした一年間の中に色濃く残っているような気がする。

夜な夜な繰り出すディスコテークでの華美と喧騒のデイトリップ。
白夜とオーロラの時空マジックに覆われたイルージョン世界。
湖畔のサマーハウスでの自然界と一体化した暮らし。
国民ひとりひとりの生き方を認め合う福祉思想の行き届いた国づくり。

北欧フィンランド、ヘルシンキの街は私にとって第二の故郷のような位置づけだ。
帰国後数年を経てから私はプロモーションやグラフィック・デザイナーのような仕事に就いていた時期があったが、それらの感性の部分で北欧とシンクロするものがあったようにも思える。
が、よくよく思い起こしてみれば、私は幼い頃ラジオから流れる小林旭の「北帰行」を口ずさむような子供だったようで、どうやら既に北国志向は芽生えていたのかも知れない。 

荒野をめざして意気揚々と旅立った私だったが、旅の終わりには小市民的で穏やかな楽園を発見してそこに身を置くことの幸せを享受することも知った。
そういった側面を体験し、私の価値観や考えを転換させた北欧での生活は人生の原風景としての何かを気づかせてくれた貴重な機会だった。

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異邦人として放浪したヨーロッパの国々の中で、北欧フィンランドでの暮らしは別の視点から「旅」を眺める時間だったようにも思える。

ヘルシンキとフィンランドの旅を綴ることは私の感性の成り立ちを一部検証することになるかも知れない。

 


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