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絵を描くという生き様~永遠の風塵 [人生描画譚]

 

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私は現在、絵本づくりに取り組んでいる。
世間一般で言われる絵本とは少し(いや多分に)コンセプトやスタイルは違っている様に思うが、それでも私は最後にたどり着いた“終の棲家”として、絵本という世界を選んだ。

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漫画を描いたり、雑誌の挿し絵を描いたり、販促物のイラストを描いたり…
人生の半分を絵を描く生活で過ごしてきた感じになる。

名作を描き上げて時代に名を刻みたい、などという強い目標意識も無かったから絵のスタイルも定まらないまま自由奔放に描いてきた。

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一度人生をしくじって踏み外し、将来の望みも期待も失って暗い闇夜をさ迷い歩いていた事もあった。
人の心を失いかけて、周りの全てが煩わしくて引き篭もりの日々を過ごした事もあったが、
立ち直るきっかけとなったのは、絵の仕事を依頼された事だった。

それは偶然の運命かも知れない。
しかし、自分自身が唯一没頭できるものに立ち直りの光明を見たというのは必然とも思える。
人は誰もが自分を生かすためのモチベーションを抱いて生きている。そのモチベーションを正しく認識することがその人の人生なのだと考えるようになった。

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多くの過ちを犯す人間としての私が“生きることを正当化する”もの、それが自分にとっては「絵を描く」という行為なのだと思う。

絵を描く事によって私は多くを学び、多くを知ることが出来た。
人間社会で生きてゆく上での様々な気づきも、絵を描く事の中から生まれた。
(実はもうひとつ私の人間形成に貢献したものとして、「合気道」という武道修練がありますが)

これから取り組もうとしている絵本のテーマにしても、絵を描き続けてきた人生の中から生まれてきたものだと思っている。

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「絵を描くという生き様」そんなタイトルで絵にまつわる自分史の一部を綴ってきたが、この最終章にきてこれまでの総括とこれからの希望を綴ることになったようだ。
私の考えとしては「人生に結論はない」というのが信条である。「未完の完」という立場をとっているから、総括といっても答えのようなものは出てこない。“人生、常に途上”である。

絵を描きながら道の途中で野ざらしになる宿命かも知れないが、出来ることなら北欧にアトリエを持って絵本を描きながら人生を終えたいなどと夢想している。 

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私にとっての究極の理想は、チベットの寺院を砂絵で飾る僧侶のような絵心だ。
私はそれを「永遠の風塵」と呼んでいる。
時空を超え名をも惜しまぬ生命の存在を託した行為…そのような生き方が出来るなら、まさに宿命に沿った非の打ち所のない生涯と言えるだろう。

 

『絵を描くという生き様』~了>

 


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