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幻想への回帰 [タイムスリップ忘備録]

私の原風景とシンクロする部分がここに在るのかも知れない。

幼児期を過ごした様々な体験はいつしかノスタルジックな幻想となって、しかし時には現実と見間違えるほど現在のリアルな情景となって私の前に現われる。 

茂田井武という画家…というよりも表現者と呼んだ方がピッタリとくる。 
また一人、画業人生を生き切った、こんなスゴイ絵描きが居たことを知って軽い衝撃と嬉しさが込み上げて来た。 
未来に対する希望と、それを推進させる勇気みたいなものが込み上げてくる喜び。

茂田井武_画集.jpg

ある意味でシャガールにも共通するような、幻想の中にどっぷりと浸かり切ってしまうアッパレ(天晴れ)な勇気を見て不覚にも私は涙ぐんでしまった。

彼の画集に添えられた紹介文の一節。
“私の描きたい絵は印象のレンズを通して焼きつけられた、脳中の印画というべきもので、記憶にひっかかって抜けないもの、過去の印象の鮮やかなものたちである。幼少時に描きためた絵は大震災で、ヨーロッパや中国で描いた画帳やスケッチは戦災で焼失したが、私の脳中の印画は年と共に濃度を増して、思い出の映像は「その時そのままの不死の姿」に近いものになってきた。”

fumikiri.jpg

幼い頃に抱えていた人生に対する期待感や愛情を“幻想”と呼ぶのならそうしよう。
時にはそれを求め、それを信じて生きていた人生を私は決して嘲笑はしない。
そこに命を吹き込む事こそが、人生の総括に近づいた者たちの“勇気ある生き様”のように思う。

そんな意思表示を作品を通して表現したいと願う日々である。 
我が幻想への回帰。

 


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