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チャンピオン太(ふとし)の思い出 [タイムスリップ忘備録]

【チャンピオン太(ふとし)の思い出】

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<チャンピオン太(ふとし)> 昭和37年に放映されていた少年向けのテレビ活劇。原作は梶原一騎で少年マガジンに連載されていたマンガをテレビ化したもので、後に「タイガーマスク」を生み出すに至るプロレス漫画の初代作品。

 力道山というヒーローはいたものの、当時のプロレスはまだまだマイナーで胡散臭い部分のあるスポーツだった。映画化やドラマ化されるスポーツといえば、国民的スポーツである「相撲・柔道・野球」が殆どで、プロレスなどというものは‘下品で野蛮でキワモノ的’な扱いだった。(ま、確かに実際もそんなものでしたが・・・)

ちなみに、空手にしてもブルース・リー(正確にはカンフー)と大山倍達が現われるまでは完全に悪者の使う格闘技だった。映画「姿三四郎」や人気漫画「イガグリくん」に登場してくる悪役の多くは「空手家」ばかりで、何故か皆、着ている空手着が黒いのばっかり・・・。もともとが韓国や琉球から伝わって来た舶来ものだから、その破壊的な激しさは日本人のメンタリティにあまり受け入れられなかったのだと思う。本来日本人って、あんまり過激で露骨なものは好きじゃないみたいですね。


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私は子供の頃からプロレスが大好きで、当然「チャンピオン太」は欠かさず見ていたけれど、TVドラマに対しては、子供ながらに何となく腑に落ちないものを感じていたのも事実だった。

  「普段、試合であんなにいがみ合って流血にまで発展している外人レスラーと、どうして一緒にドラマに出られるのだろう?」という、すごく当たり前でシンプルな疑問だった。試合と言うより殆ど喧嘩で、反則はする…罵り合う…地球上から相手を抹殺せんとばかりに遺恨を持って戦っている相手と、まかり間違っても会釈なんか交わす筈はあり得ない・・・と当時の私は思っていたからだ。  

 ドラマの中では確かに実際の試合と同じようにブラッシーとかの悪役外人レスラーが登場して、チャンピオン太や力道山に反則をしかけたり流血をさせたりしているのだが・・・でも、この撮影が終わった後は同じスタジオ内でどうするんだろう?まさか「お疲れさん」なんて挨拶しないだろうな?・・・などとつい、いらぬ心配をしてしまう私だった。

  当時の日本のプロレス界は現在と違って、力道山を頂点に一枚岩にまとまっていたから番組に登場するレスラーはすべて力道山の門下生で総出演していた。「豊登」「吉村道章」「遠藤幸吉」たちに混じえて若き日の「ジャイアント馬場」の姿もあった。が、何故かこの番組の中には「アントニオ猪木」の姿がない!馬場と同期だからすでに門下生としては存在していた筈なのに??   実は…後に分かった事だが、猪木だけは悪役の外人レスラーの役で出ていたのだった!外人選手の数が足らなかったのか、真意は分からないが、架空のインディアン・レスラーとしてモヒカン刈りのカツラをかぶり顔にはペイントをして登場していたらしい。猪木にしてみれば屈辱の極みだっただろうと推測する。


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  その後「BI砲」としてコンビを組みタッグ・チャンピオンに成長する彼等だが、読売ジャイアンツの投手出身としてエリート扱いで入門したジャイアント馬場と、片やブラジル移民時代にたまたま見そめられてプロ入りしたアントニオ猪木とではスタ-ト時点でかくも差が付けられていた。日本のプロレス界で永遠のライバルとなって今日の隆盛を築き上げる事になる、二人の黎明期であった。

<ご注意>
このコラムは十五年以上も前に発表した内容をそのまま転載しているため、その後に新事実が発見されたり、また今日では差別的とされる用語や表現があるかも知れません。『タイムスリップ』の趣旨としてそのままの形でアップしておりますので、その点はご了承下さい。

 


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