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幻想トリップ [随想随筆]

人生はまるで幻想の中をトリップするようなものだ。ひとりひとりの脳の中で作られた世界に生きて、そしてそれを全うする。人間の命は現実に存在するが、そのほとんどは架空の世界で費やされているようにも思える。ヒトは現実に生まれては幻想を旅してそしてその命を現実の中で終える。
言葉の区切りで幻想と現実を区別しているが実際にはその分れ目は見当たらない様だ。どこまでが現実でどこからが幻想か、シームレスなグラデーションで成り立っていてその境目は個人によって違っている。本当のところは誰にも分からないからこそ、その解明がひとつの学術のテーマにもなって人間世界で価値を持っているとも言える。

一般的に「現実」こそが真実であって「幻想」は虚偽であるというのが通説になっている。果たして本当にそうだろうか?私たちが見ている世界が存在する真実で、空想する世界は存在しない虚構であると言い切れるだろうか?空想することを虚構の世界として否定してしまうなら人間の営みの大半は殆どが幻想で、人生とは夢幻の時間である。

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生命の価値、生きる事の価値はもしかしたら現実世界とは別のところに在るのかも知れない。もしそうだとしたら、私たちはもっと自由にのびのびと喜びを持って生きてゆけるのかも知れない。

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