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私流カミングアウト(3)~原風景を辿る [私流カミングアウト]

人の心というものは数値で推し測ったりセオリーで解析したり出来るような単純なものではない。何層にも重なった時間と環境を織り交ぜてひとつの人格を形成してゆく。根源的な魂の次元から深層心理としての精神性があり、表層的には社会教育や成長環境によって作られる人格性格が何層にも亘って築かれる。人間が多面的であることの所以だ。

自分自身を語るとき、殆どの場合は自己防衛が働くもので決してすべてが真実であるとは言えないことが多い。少なくとも主観的な観察であるからには公正な判断とは言えないからである。

幼い頃の原風景をあぶり出してみる事が自分を振り返り考えてみるひとつの方法だろう。年月が過ぎた今でも記憶というよりも心のどこかに染みついて、時にはトラウマの様に時には慕情となって目の前に表われるカットバックの一場面。それは不思議な感覚で私であって私でない別次元にトリップさせてくれる。私が原風景というものに惹かれる理由はそんな処にある。

母と台所.jpg

「裸電球の炊事場」「枕元で眺める絵本」「真冬の朝の停車場」諸々の状況の欠片にはそれぞれに物語がある。人生は個人的に秘めた創造の物語なのかも知れない。怒り悲しみ憎しみがあるから輝いて見えるものもある事に気がついた。

冬の停車場.jpg

いずれまた何処かで何らかの形で私の原風景という玩具箱をひっくり返してみる事があるだろうと思う。人生の棚卸しの時に納屋にしまってある原風景の一つ一つを噛みしめて改めて検証しながら振り返る事だろう。

 

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