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変わらぬ風景~原風景を求めて [制作日記]

私が風景を描く時は、きまって落書きのような気分でスケッチブックを弄(もてあそ)ぶ時だ。

童心に帰って憧れの風景と向き合っている時間、それが魂の開放された時間の様に思える。
だから私の風景画はまったく個人的な感情移入と意味付けがされていて作品と言うものではないと思っている。

近頃では自分にとっての風景画が“原風景を探索する手段”のような気がしてきた。
幼い頃の風景の中にはノスタルジーに浸れる部分もあるけれど、それ以上に人生の謎を解く鍵が埋まっているようにも思える。

choko-kan_01.jpg 

二十代の頃に描いたスケッチを見つけたので、その場所に行ってみた。
周囲の風景はすっかり様変わりしていたが、スケッチした周辺だけは時間が止まっているかのように変わらぬ空気が流れていた。

徴古館の裏.jpg 

過去のスケッチを通して何となく若き日の絵描きの魂にタイムスリップした。

そこは心落ち着く空間だった。
そこには紛れもなく未来に希望を求める生命感あふれた若者がいた事を知った。
そして時が過ぎた今、そこに私が発見したものは再生という希望の姿だった。

少し辺りを散策してみたら、腰掛けるには丁度いい切り株を見つけた。
何だか昔に見たことのあるような懐かしさを醸し出している。
あの頃もこんな風にぼんやりと座って未来へのイメージを膨らましていたのかな…。

切り株風景.jpg 

ふとしたことから原風景を求めて、そして辿り着いた処は憩いの空間だった。
心機一転、再生をイメージさせる憩いのひと時はタイムスリップのその先にあった。

家に戻ってからさっそくスケッチブックを取り出して頭に浮かんだ切り株を素描してみた。
今日のこの一枚が新しいテーマと創作意欲を生み出す再生の一枚のような気がした。

切り株描画A02.jpg

 


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don

いい場所ですね。心やすらぐ。
こういう場所好きです。
by don (2017-02-25 14:21) 

扶侶夢

>don さん、ご来訪&コメントありがとうございます。
ここは伊勢の「神宮徴古館」という博物館の裏手で私の「ソウルプレイス」です。洋館のフォルムが美しい憩いと癒しのエリアでもあります。

※ソウルプレイスとは=ソウルフードならぬソウルプレイスとして今後アプローチしてゆくために私のつくった“造語”です。
by 扶侶夢 (2017-02-25 20:53) 

amaguri

僕が生まれ育った実家は無くなり、高層の市営住宅になっていました。
でも昔のままの風景を見ると色々な記憶が蘇ります。
by amaguri (2017-03-04 16:27) 

扶侶夢

>amaguri さん、ご来訪&コメントありがとうございます。
私も生まれ育った実家はなくなってしまいましたが、ソウルプレイスとして残っています。ある意味で“生まれて来た幸せ”を感じる原点でもあります。
by 扶侶夢 (2017-03-04 23:22) 

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