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時の流れに漂う [制作日記]

一枚:湾.jpg 

ふと思い立ち過去に描いた絵に筆を加えた。
ここ数年前から、そういった描き方を自分のものとしている。
「時間差コラボ」なんて命名したりして…(笑)

『永遠の風塵』…これは私が取り組んでいる絵のテーマのひとつなのだが
時間という概念は本当に不思議なものだとつくづく感じる。
そして永久に完成することなどないのに、どうして人間は完成させようと四苦八苦するのだろうか、と思ってしまう。
若い頃に“シューベルトの未完成交響曲ってすごいなぁ”と思ったことがあったが、その頃から私は少しも進歩していないようにも思える。

自転車で帰宅する坂道.jpg

海に沈む夕日を背に自転車を走らせている。
何処に向かっているのだろう?
仕事を終えて家路を急いでいるのだろうか。
それとも広い海を眺めたくて
あてもなくペダルを踏んでいるのだろうか?

雑誌コラムの挿し絵として「怒り」をテーマにしたイラストを描いていて、ある事に気づいた。
「人間の愚かさに対する心底の怒りは、悲しみにも通じて慈悲となり救いの道を啓示する」

最近の日本人は本当の怒りを忘れてしまっている。
やたらと社会に迎合するか、長いものに巻かれて生きる道を選んで、処世術ばかりが横行している。
だから社会はどんどん極分化していって、口先だけの繋がりが差別化を生んでいる。
私はこれを「偽善の似非社会」と形容している。

絵本としては取り上げにくいテーマなのだが、風刺画やイラストとしては興味深い。
鬼、閻魔、阿修羅といった概念を絵に描くことには深い意義があるように思える。
世の中には「怒りの教育」も必要かも知れない。

deri-1603x.jpg
 ▲月刊「ナイトスクープ」3月号※転載を禁ず

 

 


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