無人駅 [制作日記]
ひっそりと、しかし確かにそこに存在する
名も知られないような無人駅
日々どれだけの人がホームに立つのだろう
いつもベンチは綺麗にされて、夕闇せまれば蛍光灯がともる
隣り町まで買い物に、時代に残された年寄りたちと
朝夕の通学列車に、青春を刻む学生たちが
今日も頼りにしているのだろう
時には淋しげに
時には誇らしげにも見える無人駅だが
本当のところはどうなのだろう?
学生たちや生活者を運んで役目を果たしているその姿は
寡黙な老人の営みの様にも見えてしまう
ひと気も少ない佇まいだけれど暖かい鼓動が聞こえるようだ
この駅に立てば教えてくれる
独りは決して淋しいものではないという事
為すべきことを為すことが
全うするという意味である事を
そうしていつか旅立ちの時がくるのだと…
こんにちは…そしてさようなら
泣いたり笑ったり、色んな顔がこの駅に来るけれど
いつでも無人駅の表情は変わらない
悲しみも喜びも知っているから
無人駅の表情は変わらない
無人駅を描くためにスケッチブックを持って外に出た
駅のホームに立ってみたりベンチに腰掛けてみたり
不思議な落ち着きの空間を駅と共有しながら時間が過ぎていった
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<平成27年2月・記>
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