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人間の蹉跌 [◎ネガティブ・ケイパビリティ]

私は『人間の蹉跌』という自分の作った好きな言葉があります。石川達三の小説『青春の蹉跌』をもじったものなんですが、大変気に入っていてそのうち何かの作品のタイトルに使おうか考えています。
人というものは宿命的に失敗するように出来ていて、何をやっても一時的な成功はあるにしても最終的には失敗で終わるものの様に思えます。そしてその宿命を自覚したときに初めて “生きる事の成功”を手にしたと言えるのでしょう。倒れても立ち上がり見上げた顔が希望を向いている様を不屈と言うのでしょう。「不屈」であることが自然に敵対する人間の人間らしい一面なのだとも思います。幻想を幻想のまま受け入れて、たとえそれが消え果ても夢の中に生きた時間を人生の宝物として味わうことが、この世に生まれて生きた証しという気がします。

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人間の言葉に置き換えてこの世界を語ろうとするから間違った答えを垂れ流してしまうのです。沈黙こそが人間の最高の英知なのですが、それでは人間世界は許してくれません。
何年も前に私なりのひとつの答として「万物は未完成であり続ける」という事を心に刻みました。しかし人は移ろい易く忘れ易いもので確信した事もいつの間にか手放してしまうものです。これもつまづきの表われなのですが、気がついて元に立ち戻れば良しとしましょう。投げ出さなければ物事の勝負はつきません。勝っても負けてもひと時の話で永遠に続くものではなく、それですべてが決するものでもありません。
幻想の中で急いで到達しようとする気持ちが、人間をつまずかせる原因のひとつなんでしょうね。

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